吸血鬼 -はてな妖怪ポスト

 さてその自己血採血だが、てっきり看護婦か、良くても外来の医者の卵にへたくそな注射でグリグリやられることを覚悟していた僕だが、手術用の採血には輸血部という特別なセクションがあってそこで取るものらしい。なにせ、院内感染や血液製剤問題で大いに揺れた昨今の医学界。これに懲りた病院側はきっちりとした管理体制をひいて慎重に輸血をコントロールしている様である。
 その採血だが、まずその医者、これがまたなんと言うか、まるで血を抜くために生まれてきた妖怪みたいな男で、思わず笑ってしまった。でもこの妖怪先生は見た目に似ずなかなか愉快な男で、感じは良かった。良かったのだが、最初200ccと聞いていたのに400cc抜かれてしまった。どうやら400ccで正しかったらしい。こういうときに感じの悪い先生だとこちらもなんだか疑心暗鬼になってお互いいやな感じになるが、感じのいい先生なら、まあいいかってなことになる。信頼ってのはこういうものだと思う。
 しかしさすがに400も抜くと、なかなかいい感じにフラフラになり、軽い眩暈感を覚える、そしてこれにはなにか既視感のようなものまである。、、、これは?酒の酔に近いのかもしれない。いいなあ、これからは晩酌の代わりに血でも抜こうかな、安上がりだし。