東大駒場

 さて楽しく血を抜いたあとは東大駒場にて特殊なMRIを利用した脳の優位半球の特定作業が待っている。東大駒場にその研究室があるわけだ。
 このMRIってのがまた男の子心をくすぐると言うか、なんともまたカッコイイ奴で、部分的に今流行の兆しがあるウエラブルPCである。無論MRIはあんなに大きいのでとてもウエアする(着る)ことはできないが、ディスプレイ部分がゴーグルになっていて、そのゴーグル内にPCの画像が映し出され、そのゴーグルをしたままMRIに入ることによってMRI測定中にそのディスプレイをみることができる。この点がいかにもかっこいい(写真参照、写真の人物は先生)
 かっこいいのは良いのだが、この機械、まだ手探りの段階のようだ。例えば眼鏡。普段コンタクトレンズをしているのだが、この日は眼鏡で訪れた。眼鏡をしたままこの機械を装着することができないので、この機械にレンズを取り付けてもらった。まず困ったのがこのレンズの度が合わないこと。特に右目が悪いのでこまったが、これは左目で主に見ることで乗り切った。次にレンズの曇り。レンズが曇るので拭いてくださいと頼むと、助手の女の子が、何をおもったのかアルコールで拭いてくれたのだ。悪意はなかったのだろうが、痛い、これは痛かった。目から摂取するアルコールがこんなに不愉快なものだとは知らなかった。ダイビング用のゴーグルの曇り止めをお勧めしておいた。(まあダイバーはたいがい自分の唾液で代用するんだけれど、MRIのなかで、ペッ!ってのもちょっとどうかと思うので止めておいた。)
 さて、MRI内でなにをやらされるれるかと言うと、真っ黒な画面に五組の文字や言葉や文節が矢継ぎ早に表示され、その正誤を問われるのだ。このテンポがまた尋常じゃないほど早くて、ほとんど追いつけない。ここでまた、「ああ、僕の脳機能もここまで落ちたか」と暗澹たる気持ちになりかけたのだが。よく考えてみればどう考えてもこれは速すぎる。ハハーン。さてはこれは正解率はどうでもよく、ただ限界まで脳に負荷を与えることによって、何かを見ようとしているのだな、と気が付いた。ただ、そうは言わないのは、そう言ってしまうと被験者(僕が)本気を出さなくなり数値が取れなくなるからだろう。
 ということで、せまーいトンネルのようなこのMRIに閉じ込められたまま、なんと延々2時間以上この検査が行われた。で、正直言って途中何回か寝てしまった。あれでずっと起きていられるのはそれだけで立派な才能だと思う。
だいじょうぶかなあ?