リアル寓話

両足切断で登頂成功…遭難男性を救助せず登山続ける

 15日に、両足を切断した人で初めて世界最高峰のエベレスト(8850メートル)登頂に成功したニュージーランド人のマーク・イングリスさん(47)ら約40人が、頂上付近で倒れている男性に気付きながら救助せず、登山を続けていたことが分かった。男性はその後、酸素欠乏で死亡した。
1953年に世界で初めてエベレストを征服したニュージーランドの登山家エドマンド・ヒラリー卿(86)は、男性を見捨てたと非難しているが、イングリスさんは「自分ができることは何もなかった」と反論。登山家の倫理をめぐり議論を呼んでいる。

 ニュージーランドでの報道によると、死亡した男性は英国人のデービッド・シャープさん(34)。単独で登頂した後、約300メートル降りたところで酸素不足のため倒れたとみられる。

 ヒラリー卿は「自分の遠征隊なら、人が岩の下で死ぬのを放置するようなことは決してなかった」と強調。イングリスさんは、立ち止まって様子を確認したのは自分たちのパーティーだけだったとし「8500メートルでは、自分が生きていくことも非常に難しい」と話している。