チベットに鉄道か、、、

海抜4700m「世界の屋根」チベットに初の鉄道敷設

 中国が大西部開発の目玉事業として建設を進めている青蔵鉄道青海省ゴルムド―チベット自治区ラサ間、全長1142キロ)のチベット側工区で22日からレールの敷設工事が始まった。「世界の屋根」のチベットにはこれまで鉄道がなく、レール敷設は史上初めて。
 最初のレールが敷かれたのは、青海省境に近い海抜4700メートルのアムド駅。来年末には区都ラサまでレールが延びる予定だ。

 チベットに鉄道ができるという。複雑な心境だ。観光地として汚染されるには惜しい景色と人々の暖かさがあそこにはある。そして秘境の魅力はその交通の便の悪さに守られていることが多い。国中に線路がはりめぐらされた後にはのっぺりとした同じ顔をした駅前文化が待っている、日本みたいに。
 僕があそこに行ったのは学生時代だった。中国を一周する予定だったその旅も、中国のあまりの暑さと不愉快さと退屈さとその他もろもろに嫌気がさして、急遽チベット行きを決意、いわばチベットに避暑に行ったわけだ。行きは、成都から飛行機だったのだが、帰りは大好きなバスを使った。このバスがすごくて、三日間乗りっぱなしだった(笑)シートは狭く、足の長い僕は気の毒に畳まれたキリンみたいな格好で、ずーっと三日間そのバスに乗っていたわけだ。その状態でいると、無論最初の12時間ぐらいはとんでもなく苦痛だ。しかし一度それを過ぎると今度は脳内麻薬が、とめどなくとめどなく分泌されだし非常に恍惚とした三昧境が堪能できる。旅の醍醐味のひとつだ。
 しかもこのときはオマケがついた。バスに乗っていると、ある地点の道が洪水により陥没しており、そこで人民軍と思しき若者達ががんばって復旧作業に力を入れていたのだ。幸いまだ道は部分的に残っていたので、バスはそこを通過した。その時車内にいた一人のお調子者の中国人のおっさんが若者達に向かって手を振ってなにやら「ごくろーさーん」みたいなことを言った。
 するとそれまで黙々と穴を埋めていた若者達はすごい勢いでバスに詰め寄り、「そいつを降ろせ」の大合唱を始めたのだ。無理もない、誰だって好き好んでこんな何もない荒野の真ん中で土木作業をしているわけではないから気も立っているだろう。明らかにおっさんは軽率すぎた。バスの運転手も僕らみんなも、命をかけてまでそのお調子者をかばう気はなく、割とすんなりと彼を引き渡した。あれは死んだと思う。


...って言う話を以前、初対面の女の子にイタ飯屋で面白おかしくしたところ、サメザメと泣かれてビックリしたのを思い出した。僕の想像力には欠陥があるのかもしれない。ちなみにその子は前の彼女。