脳内指令で「アシモ」操作 ホンダ、10年内に実用化

脳内指令で「アシモ」操作 ホンダ、10年内に実用化

 人間の脳の動きが無線によって伝わり、二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」が自分の分身のように動く−。ホンダは二十四日、こんな夢のあるロボットのコントロール技術を、五−十年後に実用化する計画を発表した。
近未来のアシモを支えるのが、脳の活動を解読して、ロボットに人と同じ動作をさせる世界初の技術。研究開発子会社のホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI)と国際電気通信基礎技術研究所(ATR)が開発した。

 新技術は、医療現場で使われているMRI(磁気共鳴画像診断装置)によって取得した人の脳活動のデータを活用する。例えば、「グー」「チョキ」「パー」を手で出す動作を連続して行い、動きの違いによる血流変化をMRIで一秒ごとに計測。どの動作をしているときに、その人の脳がどのように活動するかを読み解く。

 今回は、この解読結果を手型のロボットに送信すると、約七秒後に同じ動作をさせることに成功。人がチョキを出せば手型ロボットもまねをする。正答率は85%だった。

 脳活動を解読して機械を動かすには、電極を脳に埋め込む方法があるが、手術が必要で普及していない。手術不要な方法でも訓練が必要となる。

 今後の課題は七秒という時間差を大幅に短縮するのに加え、脳波などを活用することで応用領域を広げる点だという。

 昨年開発した新型アシモは従来の二倍の時速六キロで走り、トレーの受け渡しやワゴンの運搬ができるようになるなど、機能が大幅に向上した。

 しかし、HRIの川鍋智彦社長は、「アシモが人のために役立つようになるには、ロボットの脳を人間の脳でいかに支援できるかがカギ」と指摘。「自分の分身のように以心伝心で動くロボット」を目指す。

 ホンダでは、介護市場向けなどを想定して、将来的には、ある動作をしようとするときの脳波などを解読して、人が動かなくてもロボットを自在に操作できるようにしたい考えだ。