メロドラマやトークショーは高齢者の脳を鈍らせる

メロドラマやトークショーは高齢者の脳を鈍らせる

  昼間、メロドラマやトークショーをよく見る高齢女性は認知障害を生じやすいことが、新しい研究で示唆された。研究を行った米ニューヨーク市立大学ブルックリンカレッジ行動科学助教授のJoshua Fogel博士によると、明確な因果関係は不明なものの、この2種類の番組に何らかの意味があるのは間違いないという。
今回の研究でFogel博士らは、米ボルティモアメリーランド州)在住の70〜79歳の健康な女性を対象とした1996年の研究データを検討した。被験者はニュース、メロドラマ、コメディ、クイズなど14種類のテレビ番組の中から好みのものを選択し、さらに記憶力、意思決定力などの認知的技能を評価するテストを受けた。

 その結果、トークショーをよく見る女性には、長期的な記憶障害が7.3倍多くみられ、メロドラマをよく見る女性には、注意力障害が13.5倍多くみられた。テレビ番組が認知能力を改善することを示す証拠は認められなかった。ドラマやトークショーを見ることが認知障害の原因になるのかどうかは、この研究からはわからないという。この知見は「Southern Medical Journal」3月号に掲載された。

 テレビによる小児への影響を研究する米ワシントン大学小児保健研究所長Frederick Zimmerman氏は、この研究から「高齢者が頭を使わないようなテレビの見方をすると、認知力の低下につながることがわかる」と述べている。テレビの見過ぎで、小児の学力および認知力の発達が妨げられることもわかっているという。

 テレビにはストレスが緩和されるなどの利点もあるが、Fogel博士は、医師は今回の結果を念頭に置く必要があると考え、高齢女性がトークショーやメロドラマを好んで見ている場合、認知障害のサインである可能性があり検査が必要と述べている。