味を覚えるのは前頭前野

味を覚えるのは前頭前野
脳モデルを開発、測定
 独立行政法人食品総合研究所(つくば市)などの研究チームは、人が食べ物の味を覚えようとする時、見たり聞いたり触った感覚を記憶するのと同じ大脳の前頭前野が活発に働いていることを突き止めた。同チームが二日記者会見し、発表した。 (小沢 伸介)
 人が食べ物を口に入れると、味覚情報は舌から延髄、視床へと伝わり、「一次味覚野」で甘さや苦さを感じる。さらに「二次味覚野」で食べたものの歯応え、温かさ、香りなどの情報が統合され、食べ物が認識される。
しかし、味を覚えておきたいと意識する時、脳のどの部分がその機能を果たしているかは分かっていなかった。

 研究チームは、脳の働きが活発かどうかを面的に調べられる「光トポグラフィ」と、脳画像データベースを使った日本人共通の立体的な脳モデルを開発。両者を組み合わせ、座った状態でじっくり味わっている時の脳の測定を実現できた。

 味覚実験では、言葉で表現しにくいスポーツドリンク風の液体を用意。十人を対象に、二種類を間隔をあけて口に含んで同じかどうかを答える時と、一つの液体を単に味わった時の脳の働きを測定。その差から味を記憶する働きを調べた結果、大脳の前頭前野で左右両方とも活発に活動していることが分かった。

 同研究所の壇一平太研究員は「テレビを見ながらの食事は味がよく分からない、という体験の理屈が説明できる。食品開発に欠かせない官能評価員の効率的なトレーニングにも役立つ」と話している。