揺り戻し

ヘアヌードの掲載中止 週刊ポストが方針転換

 小学館発行の総合週刊誌週刊ポスト」が、約10年前から続けてきたヘアヌード写真の掲載を取りやめた。28日発売の7月9日号からは、バストが露出した写真も原則として載せない方針。
 海老原高明編集長は19日までに「ヘアを不自然な形で隠すのはおかしいという国民に向けた挑戦だったが、恒常的に載せる価値はなくなり、使命を終えた。お父さんが家族のいる自宅に持って帰れる雑誌、という創刊時の原点に戻りたい」と話した。
 週刊ポストの昨年下半期の平均販売部数は約62万8000部(日本ABC協会調べ)で、総合週刊誌のトップ。
海老原編集長によると、ヘアヌードが姿を消したのは5月24日発売の6月4日号から。掲載を始めた1990年代前半は、女優の宮沢りえさんらの写真集をきっかけに、ヘアヌードを載せた写真集や週刊誌が増え、論議を呼んだ。

 ま、うちの親父は堂々と持って帰ってきて山積みにしておりましたが。
 ところで、昨今あらゆるシーンでこの「揺り戻し」(ゆりもどし)現象が見られる気がする。急速な右傾化、スローフード運動、etc. 乱暴を覚悟の上で一言で要約するなら保守反動と表現できるかもしれない。とにかく、今まで大手を振っていたさまざまな事象が今転換期を迎えているようだ。こういったものは、兆候が見え出したとおもったら、あとは一気にやってくる気がする。だからどうした?って聞かれてもこまるけど。

 で、さらに言うとこの週間ポストの主張はかなりおかしなものだ。
「ヘアを不自然な形で隠すのはおかしいという国民に向けた挑戦だったが、恒常的に載せる価値はなくなり、使命を終えた。お父さんが家族のいる自宅に持って帰れる雑誌、という創刊時の原点に戻りたい」と言っているが、隠すのはおかしいと主張している(あるいはしていた)傍らで、お父さんが自宅に持って帰るには破廉恥すぎることを認めているのだ。この明らかな矛盾。
 この、ひとつの声明のなかにこのような矛盾が堂々とはっきりと現れるというのも昨今よくみかける現象だ。♪意味なんてもうなにもないなんて 小沢健二がよくとばしたジョークだが、もはや意味なんてもうなにもなくなってしまったのかもしれない。
 そういう意味でもこの記事は今の世情を意図せずして非常によく反映していると思う。